■風の会 出展作家:岡野博 久保田裕 坂口紀良 松田環 |
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■第10回 風の会 1998年5月27日〜6月10日 |
岡野博 |
「風の会」も10回目を迎える。この10年近くにわたった「風の会」は、私にとってはフランスから帰ってきてからの10年間であり、フランスに渡った時の第1歩と同様の新しい1歩の始まりであった。今、振り返ってみると、その時代、その時代にしか描けなかった――今の自分とは違う別の世界があったと思う。
(カタログより) |
春の木
50F(116.7×90.9cm) |
小鳥のいる風景
10F(53.0×45.5cm) |
青いりんごの木
20F(72.7×60.6cm) |
久保田裕 |
「風の会」は今年で10回目となり、最終回を迎えました。メンバー4人の年齢もそれぞれ50才を越え、年々時の過ぎ去る早さが身にしみる世代となりました。結成当時、全員で会の名称を決めたことがついこの間のように思われます。
第1回から10回までの図録を開いてみますと、制作した際のことを実によく覚えており、いくばくかの達成感と多分の反省の念にかられます。展覧会は、会期が終わると消滅してしまいますが、図録として記録が残ることは怖いと同時に、大変ありがたいことであります。
これからの仕事は、この10年の積み重ねが土台となることは間違いなく、微風となるか強風となるかが問われることでしょう。
発表した作品はできるだけ多くの人に見ていただきたいものですが、ギャラリー和田は、和田ご夫妻のお人柄ゆえによく人が来場され、いろいろな出会いを楽しめる貴重な体験ができました。「風の会」への思い入れを深めて下さった和田さんに、厚くお礼申し上げます。
(カタログより) |
燕飛ぶ 50F(116.7×90.9cm) |
柿
8M(45.5×27.3cm) |
無花果の木
30F(90.9×72.7cm) |
坂口紀良 |
私は30才頃作画法に大きな変化を起こしたため、その重圧に耐えられず、体を壊して十二指腸潰瘍で何度も黒い血を吐いたあげく切腹したことがあります。
それから40才頃までは何度も入退院をくり返した病気の10年でした。家族には心配の懸けっぱなしでした。
さて40才になると今度は胆管に石が詰まって已む無くまた切腹。これで一応元気を取り戻したのですが、次はどんな病気がやってくるのかという不安は4年前糖尿病とC型肝炎(B型人間なのに)のレッテルを貼られて解決。その頃から足がしびれてお蔭で毎朝、多摩湖沿いを散歩するようになり、自然との対話から発見することが大になりました。
今は50才、健康が一番と実感するこの頃、一貫して求め続けていることは「自然の輝き」に近づくこと。モーツアルトやブルックナーの音楽が流れてくるようなビビットで深い響きの絵画空間を創りたいと願うばかりです。
(カタログより) |
白樺のあるアネモネの窓辺
20P(72.7×53.0cm) |
譜面台のあるコートダジュールの窓辺
6F(40.9×31.8cm) |
ソレント 40F(100.0×80.3cm) |
松田環 |
時々テレビの画面などに映る草原の上を漂いゆく気球を見て、自分もあの吊るされたカゴにのって飛んでみたいなぁと思うことがある。大地の少し上空を、風を顔にうけてすべるように飛ぶ。そんなふうに想像していた。
ところが、この前それが少し違うということを聞いた。風の動きと々軌跡で飛ぶ気球は、そのカゴに乗っているとまったく風を感じないという。少しおどろいた。風は感じることは出来るが目には見えない、それが風だと思っていた。そころが気球は風そのもので目には見えるが肌に感じることができない。
今より10歳若いぼくは風を、顔にうけ肌に感じるものとしてイメージしていた。この10年世間もずいぶん変わった様に思う。人の一生の中でちょうどそんな年代でもあるのだろう。何かに背を押されるように前につんのめりながら小走りに駆けてきた。そんな気がする。今思っている。風を待つ帆船のように自分のなかから風が吹くのを、そんなふうにぼくの絵が生まれることを。
(カタログより) |
桃花 40F(100.0×80.3cm) |
水仙
10P(53.0×40.9cm) |
薔薇
20F(72.7×60.6cm) |
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